「Two hearts」 1 |
才に恵まれすぎたのだ、と狗(イヌ)は思う。 「要するに、無理なんだよ。」 狗の頭上で、銀髪の主(あるじ)が怒りを込めて吐き捨てる。ついに堪忍袋の緒が 切れた、と言わんばかりの上忍の口調に、中忍下忍の集う待機所の空気がみるみる 張り詰めていくのが分かった。 「揃わなかった物資は、後から繋ぎます?俺が責任を持って届けます?・・・正直、 あんたにそんな芸当ができるとは思えないね。あんた現場を離れて、何年だ? 間に合わせに借り出された低ランクの任務じゃない。本気の実戦、ってのから 離れて、何年経った?」 明らかな非難の混じる問いかけに、黒髪の中忍がぐっと喉を詰まらせて口篭もる。 「・・・五年です。・・・ですが、その間それなりに修練は積んでいたつもりです。 先発隊の足を引っ張るような真似は・・・」 なんとか言い返そうとする男の言葉を、銀髪の上忍がいかにも呆れた風情で遮る。 「五年?全然駄目だね。俺は中忍先生のリハビリに付き合わされて無駄死、 なんてのはご免だ。物資の奴等に、そう伝えて下さい。」 部屋中に響く声がきっぱりと宣言する。 「イルカ先生。はっきり言って、今のあんたは駆け出しの下忍同然なんですよ。 俺にとっちゃね。」 下忍同然、と面罵されたイルカが顔を赤らめて唇を噛む。 「・・・・申し訳ありません。出すぎた事を申しました。なんとか出発までに全て 手配できるよう、もう一度上に掛け合います。本当に、失礼致しました。」 うな垂れた頭から漏れる謝罪の言葉に、周囲が気まずそうに瞼を伏せる。 この部屋に集っているのは、大人だけではない。ほんの一、二年前まで、アカデミーで この中忍の教えを仰いでいた下忍も幾人か混じっている。その教え子達の眼前で、 自らの衰えを痛烈に指摘されるのは、酷く屈辱的な事に違いなかった。 「分かればいいです。」 気まずい空気の中、銀髪の主がそっけなく頷く。途端、周囲の緊張がドッと解けていった。 待機所がおそるおそる元の喧騒を取り戻していく。その喧騒の中、狗はちらりと主の 顔を見上げた。 ・・・・・ここから、だな。 殆ど諦めに似た境地で、その場から立ち去ろうとしない主の姿を眺める。 「・・・・今日の仕事は、これで終わりですか?」 主が平淡な声で、イルカを見下ろして尋ねる。 「・・・え?あ、はい!この書類を引継ぎの者に渡して、それで交代になると 思います・・・!」 書類を纏めていたイルカが、慌てて時計を見上げて答える。その途端、主の眉が 再び強く顰められた。そのまま、突き刺すような厳しい眼差しでイルカの顔を 睨み付ける。思いがけぬ険しい反応に、イルカの頬が次第に強張っていく。 「・・・・あの・・・、なにか・・・」 緊張した問いかけにも何の反応も返さず、ただひたすらイルカの鼻傷辺りを睨む。 その無言の圧力に、周囲に再び不穏な緊張が張り詰めていく。狗は大きな溜息をついた。 並の奴等には分かるまい。常人を遥かに超える五感を持つ忍が、更に頼りにする 獣の聴覚。その中でも、布地に落ちる針の音すら聴き取ると言われる、自分ほどの 忍獣でなければ決して分かるまい。 この上忍の口布越しに吐かれる呼吸が、実は言葉の輪郭を持っている事など。 呆れる余り、噛み締めた犬歯からうう、と唸り声が上がった。 じゃあですね、と言っているのだ。 じゃあですね、飯でも食いに行きませんか。 それが終わったら、俺と飯でも食いませんか。 音にする勇気も無いまま、そう、空しく唇を動かし続けているのだ。 何だか知らないが、主はこの中忍に惚れ切っている。 何だか知らないが、と言うのは、実際自分にはその理由が分からないからだ。 どうという事のない、地味な男だと思う。 まぁ、よく見れば上背はあるし、見た目もそれほど悪くはない。くっきりと黒目の 勝った瞳や、形よく結ばれた唇の様を見れば、容貌はむしろ意外な程に整っている。 が、あくまでも「良く見れば」の話だ。 周囲が振り返るほどの美男とは、到底言えない。 感じるチャクラの量も、中忍にしてはまずまず、程度のもので、とりわけ突出したものではない。 そりゃ、所詮自分は犬だ。人間の嗜好など、はっきりとは分からない。が、しかし、 この中忍はおそらく、人間界で「人目を引く」タイプでは無いと思う。 それが、主には違うらしいのだ。 あの男の、ほんの少し主より高い声。金髪の少年の大仰な大言壮語に、困ったように 首を傾げて覗き込む仕草。イルカせんせい、と呼びかける子供の声に、「うん?」と 一拍置いて聞き返す癖。 そうしたあの男の一つ一つが、おかしなくらい主の心臓を締め付けるらしいのだ。 どうにかして、あの男に近づきたくて堪らないのだ。あの男の傍に行き、あの男の 隣に座り、あの男の「特別」になりたくて、どうしようもないのだ。 主は才に、恵まれ過ぎたのだ。 狗がもう一度胸の中で呟く。あの父親の血を、こやつは受け継ぎ過ぎたのだ。 獣の脳裏に深々と一つの名前が思い浮かぶ。はたけサクモ。数十年前、木の葉で 「白い牙」の異名を取った伝説の忍。 そして、自分の最初の契約主。 卓越した才を持つ忍だった。その完璧な仕事振りは、里中の畏敬の的だった。 当に木の葉の宝だと、誰もがその腕を褒め称えた。 その父親の才能を、はたけカカシはほぼ完璧に受け継いで生まれてきた。 驚異的な敏捷さでクナイを振るう幼子の身のこなし。それは、天才と謳われた サクモの幼少時そのままだった。忍術だけではない。端然とした面差しも、 銀色の髪も、どこか超然とした抑揚の少ない物言いも、全てがサクモの写し絵の様だった。 余す所なくサクモの血がカカシに受け継がれた事。それは忍びの里にとって、 大きな安堵だった。 そして、同時に大きな不安だった。 何故なら、サクモは一人の人間としては全くの不出来だったからだ。 人としてのサクモは、不出来もいいところだった。 天才肌、と言えば聞こえはいいが、神経質で、愛想というものがまるで無く、 およそ相手を楽しませる、という事が出来なかった。 そのせいか、幾つになっても呆れるほどの人見知りで、ごく限られた相手以外とは 眼も合わせようとしなかった。 特に初対面の相手には酷かった。 あからさまに視線を逸らしたまま、遣り難そうな溜息ばかり露骨に繰り返す。 なまじ怜悧に整った容貌のサクモがそんな仕草をすれば、酷く傲慢で、鼻持ちならない 印象を与えた。 そんな状態で、その後の付き合いが上手くいくはずもなかった。 里で「サクモと仲がいい」などという者は、ほとんど皆無といって良い状態だった。 そのくせ、この困った男は任務となるとまるで別人だった。 戦地でのサクモは、強烈な完璧主義者だった。「忍」である事に高い自負と 誇りを持ち、その誇りを汚そうとする者には、例え味方であろうと容赦無かった。 普段の会話の拙さが嘘のように舌鋒鋭く、仲間の失態を口を極めて非難した。 サクモと組んだ者は、まるで標的だった。 些細な失敗を暴き出されては、声高に厳しく問い詰められ、その無能を衆人の前で 誰はばかる事なく弾劾された。 サクモ自身の仕事ぶりは成る程見事なものだったから、その非難に正面きって 反論できる者はいなかった。 が、それだけに叱責された方は逃げ道が無かった。 里では顔を合わせても挨拶一つしないくせに、こんな時ばかり「木の葉の忍」の 自覚があるのか、と里の名前を持ち出して苛烈に責め立ててくる。そんなサクモに 嫌気の指すものは少なくなかった。 サクモとはもう二度と組みたくない。 そう言い切る者は、任務をこなす毎に増えていった。 だから、誰一人いなかった。 ある日、木の葉に醜い裏切りが起こり、その首謀者がサクモである、と言う まことしやかな噂が流れた時に。 その時には既に、サクモは孤立しきっていた。この天才上忍を庇い立てしようと する者は、一人も現れなかった。一向やまぬ疑いと軽侮の眼差しに、絶望した サクモがついに自刃してしまうまで。 その最期の瞬間まで、上忍仲間の誰一人、サクモの味方に立とうとはしなかった。 その後、カカシの教育を引き受けた四代目は、徹底的に「仲間」との協調を カカシに叩き込んだ。 里はあのような失敗を、二度と繰り返す訳にはいかなかった。10年に一人、と 謳われた貴重な天才。その天才を、むざむざ自ら命を絶たせてしまうなど、 二度と許される事ではなかった。 「仲間」がどんなに大切なものか。その支持を得る事が、どんなに重要な事か。 それを、幼いカカシに繰り返し諭し続けた。 その努力は、報われたように見えた。 カカシの仲間に対する厚情は、今や非情で知られた暗部ですら疑う者は無い。 埒もない下忍の子供の悪戯にすら惚けた顔で引っ掛かってみせる姿は、 無愛想で、プライドの塊のようだった父親とは全く別物だった。 だから、狗は信じていた。カカシはそこまで、受け継いではいなかったのだと。 あの不器用でアンバランスな男の性質までは、カカシは受け継ぎはしなかったのだと。 この有様を、見るまでは。 もし、これが「忍」としてなら。 狗がまた溜息をつく。 もし、主のこの感情が、「忍」としてのものなら。 あの中忍に驚くべき忍の才があり、それに主が惹かれたのだとしたら。 だったら、主は全く躊躇しなかっただろう。すぐさま五代目の部屋に行き、 イルカを自分と組ませろ、と堂々と交渉しただろう。そして、アンタに興味が あるんだよ、ついておいで、とあっさりイルカに告げただろう。 その事に、あの男がどんな反応を返そうと、動じる事無く受けただろう。 何時もの飄々とした態度のまま、自分の思う通りに事を運ぼうとしただろう。 だが。 狗が短い首をふるふると振る。 だが、違ったのだ。イルカは、そういう相手では無かったのだ。 主の調べたイルカの経歴。B級C級任務を中心に、A級を数えるほど。悪くはないが、 イルカの年でその程度の経歴なら掃いて捨てる程いる。到底、主の興味を引く 実績ではない。使う術もごく有り触れた、平凡なものばかりだ。見かけと同じ、 地味で月並みな忍でしかない。 勿論、月並みが駄目な訳ではない。 派手な手柄は立てずとも、地道に、確実に里の任務をこなしていく。それはそれで 貴重な人材だ。 しかし、主の任務に、そうした忍は必要ないのだ。 必要なのは、強力な技で敵を圧倒する、第一級の忍だ。そして、そういう話なら、 主を慕う暗部上がりの後輩上忍が山ほどいる。敢えて内勤の中忍を選ぶ理由など、 何処にも無い。 中忍うみのイルカに、関わる必要は無い。 「写輪眼のカカシ」としての頭脳は、きっぱりそう弾き出すのだ。 でも でも、違うのだ。 関わりたいのだ。イルカの隣に居座り、その黒い瞳を飽かず見詰めていたいのだ。 自分一人が聞き取れるような声で、カカシさん、と囁いて欲しいのだ。 胸が痛いのだ。ナルトだけに笑いかけるイルカを見ると。自分には、畏まった 礼しかしないイルカを見ると。 忍として必要でなくても、「うみのイルカ」は必要なのだ。「うみのイルカ」には、 側にいて欲しいのだ。 イルカにも、そう思って欲しいのだ。 それなら、どうすればいいのか。 決まっている。それなら、「はたけカカシ」として声を掛けるしかない。 「写輪眼のカカシ」としてではなく、「はたけカカシ」として。 忍の里に住まう、一人の風変わりな青年として。 いつもポケットにイチャパラをしのばせ、顔の殆どを口布で覆った、奇妙な銀髪の 男として。 そうした自分で、イルカを得なければならない。特別な好意を、抱いて貰わねばならない。 イルカがそうした男を、どう思うかも分らないのに。 そう意識した途端、主の回路はぶっつりとショートしてしまうのだ。 何で、そんなにサクモ似なのか。 狗が嘆息して思う。 サクモもそうだった。「忍」としては自信があっても、里での自分には、全く 自信が無かった。 意識する相手であればあるだけ、余計に緊張と混乱に立ち竦んだ。 せめて、四代目がもう少し長く生きていれば。 今更ながら、狗がその早世を悔やむ。 四代目は、余りに早く亡くなりすぎた。 カカシに「忍としての生き方」だけを教え込んで、この世を去った。「里での生き方」 まで、教える余裕が無かった。 これほどまでに、父親の血を受け継いだ子供に。 その子供に、「人としての生き方」を何一つ教えぬまま、あの世へと旅立ってしまった。 カカシは半分塗られただけで放り出された、人形のようなものだ。 艶々と輝く半身の裏で、父親の欠点が剥き出しのまま放置されてる。 人としての振る舞い方を知らず、里に一人の味方も作れず、下手な沈黙で事態を 悪化させることしか出来なかった、不器用な男。 それはそのまま、カカシの中に残されたのだ。 そして、その破綻した男の血を自覚する故に、カカシの緊張は一層高まってしまうのだ。 そんな状況を更に悪化させているのが、イルカの配属部署だ。 戦略物資調達部。 これが、事態を一層悪いものにしてるのだ。 トップが、古い時代の強硬派なのだ。 「冷酷の忍大国」の復権を、心の底から望む老人。忍びに団結など必要無い。補給が 無ければ、瀕死の仲間から衣類を剥ぎ取ればいいのだ、と公言する老権力者。 虎視眈々と機を伺い、三代目亡き後、あっという間に権力の座の一角を奪い取った、 老獪な男。 その下に、中忍うみのイルカが配属させられたのだ。 毎回、この有様だ。 任務が終わる。カカシがいそいそと店を予約する。 カカシさん、いい店ご存知なんですね、すごいなぁ。別に、そんな事ないですよ。 たまたまね。 銀色の頭を掻いてさらりと謙遜する自分に、イルカが尊敬と憧れの視線を向ける。 焦がれてやまない黒い瞳が、主に向けてにっこりと嬉しげに細められる。 そんな夢想にどっぷり漬かり切った挙句、いそいそと受付所に向かう。順番が 近づくと共に、そのいそいそが緊張にすり替わって行く。緊張に心臓を爆発 させそうになりながら、ようやく 黒髪の中忍の前に立つ。 そして、慌てて立ち上がったイルカが言うのだ。 「・・・カカシ上忍!前回の申請についてご相談したい事が・・・!」 それで、終るのだ。 その瞬間、主の頭は切り替わってしまう。一切の妥協を許さない、「木の葉一の上忍」へと。 イルカが怒られずに終わったのを見た事がない。 物資が揃えられない、人員が割けない、といったイルカの訴えを、主は常に斬って 捨てた。焦ったイルカが、それでは自分が隊の一員に、と必死に妥協案を 提案するのが、更に主の怒りに火を注ぐ。Sランクの任務を内勤の中忍に 強いるなど、ただ残酷な愚行でしかない。 能力に見合わない成果を強いられた挙句、犬死に近い最期を遂げていった仲間達。 その無残な屍を、主は歯を食い縛りながら眺めてきたのだ。 結果、周囲が沈黙する程の厳しい言葉で、目の前の中忍を叱責してしまう。 そして、ひとしきり叱責が終わった後、主はようやく気づくのだ。 食事に誘う予定の相手が、屈辱に蒼褪めて立ち尽くしている事に。 目線を床に向けたまま、ひたすら自分の視線を避けている事に。 ただでさえハードルが高いのに、ここまで難易度が上がってしまっては、声など 掛けられるはずが無い。きっと今日も、店の予約はキャンセルだろう。一体、 何度目のキャンセルだ。毎回、予約ばかり張り切りおって。 狗が次第に苛々しだす。 大体、こやつはやる事がみみっちすぎるんじゃ。 本来、任務があった時のみ、呼び出されるはずの自分。それがここ最近ずっと 出ずっぱりなのは、あの金髪のガキが何かの拍子にひょろりと漏らしたからだ。 「イルカ先生も、犬が好きなんだってば!」と。 「いい犬ですね」と言われないか、と思っているのだ。 いい犬ですね。実は、俺も犬が好きなんですよ。可愛いなぁ。なんて向こうから 話し掛けてくるのを、期待しているのだ。 消極的過ぎて泣けてくる。 第一、そんな事が起こる訳がない。 木の葉随一の上忍、「写輪眼のカカシ」。その凄腕上忍が呼び出している最中らしい 忍犬に、「かわいいですねー」なんて犬好きのババアの如く能天気に擦り寄ってくる 中忍がどこにいる。 そんな馬鹿中忍、いる訳がない。 しかも、相手はついさっきまで自分を大喝してた上忍だ。この状態ですり寄って くるなら、むしろイルカの神経を疑う。 如何に犬好きでも、そこまで命知らずな犬馬鹿はありえない。 それでも、主は一縷の望みを賭けて自分を連れまわすのだ。 それだけが、自分が唯一知っている、「イルカが好きな物」だから。 ただ一つ、イルカが自分に興味を持ってくれるかもしれない物だから。 だから、自分を巻物に戻す事が出来ないのだ。 「カカシ上忍、他にお話が無いようでしたら、後ろも詰まっておりますので。」 長すぎる沈黙痺れを切らしたイルカが、ついに顔を上げて訴える。その口調に微かに 滲む非難の響きに、主の体温が一気に冷えていく。 「・・・・別に、無いよ」 ぼそりと声を絞り出し、背中を丸めてふいと受付所を後にする。 ポケットに突っ込んだ主の手の中で、店の連絡先を記した紙がぐちゃぐちゃに 丸められていく音がする。 溜息をついて、その後をとたとたと付いて行った。 「カカシ・・・・」 主が蒼みかがった眼でちらりと自分を見下ろす。 「…分ってるよ。別に、今日じゃなくてもいいかな、って思ったんだよ。正直、 今日の店はそんな良くないし…、だから…また別の…」 見え透いた言い訳をする声が、次第に重く沈んでいく。それにつられて、狗の心まで どんどん重くなっていく。これも毎回だ。本当に、もういい加減にして欲しい。 何か、きっかけがあれば良いのだが。 狗が真剣に思う。 どうせ、この有様では主から声は掛けられまい。かと言って、イルカがふらふらと 自分を撫ぜにくるのも有り得ない。 自分は契約で縛られている身だ。主の命令以外の行動は禁じられてる。主以外の 人間には、 迂闊に口を利く事すら許されないのだ。勝手に主の気持ちを代弁など、 到底出来る技ではない。 …どーすれば良いのかのぅ……。 垂れた目尻を震わせて、狗はひたすら首を捻った。 |
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